今回はルール改訂後のTFWP(外国人一時就労者プログラム)の現状をご説明します。
ファーストフードチェーン店のマクドナルドによるプログラム濫用が発覚したのをきっかけに、TFWPが大幅改訂となったのは今から約一年前になります。外国人雇用のルールが厳しくなった結果、昨年の就労ビザ取得に必要なLMIA(Labour Market Impact Assessment) 発行数は、2012年の約5分の1に減少しました。数字上、現保守党政権の“カナダ人雇用優先”をアピールするという目的は達せられたように見えますが、飲食店では営業時間を短縮したり、新規出店を見合わせるといった対応も行なわれているのが実情です。
行政窓口となって直に市民に対応する“サービス”カナダはこの目標を達成するために、プログラム要件を頻繁に変更することで雇用主を混乱に陥らせ、書類不備の申請書はシュレッダーにかけられ、重箱の隅を突くような問題箇所を探し出しては、極めて主観的な理由で却下することが平然と行われています。雇用主への電話インタビューでは高圧的な尋問が行わることもあり、多くの雇用主が不愉快な気分にさせられたと訴えています。非生産的に雇用主に時間とコストをかけさせた結果、カナダ人の雇用がどれくらい増えたのか、カナダ政府には是非検証して欲しいと思います。
幸いLMIAが発行されたとしても雇用主は気を抜けない状況となっています。LMIA申請を引き金として行われるCompliance Review(過去にLMIAを発行した外国人就労者に対して約束した就労条件が守られているかどうかの査察)はInspectionへと拡大し、LMIA取得後の数カ月後に突然レターを受け取り、LMIAの条件や州の労働法遵守の証明を求められます。政府は外国人を雇用する雇用主の25%にこのInspection実施を目標に掲げており、今年の12月1日から違反に対する制裁も更に厳しくなる見込みです。
こうした厳しい状況ですが、永住権申請用のLMIAはプロセス期間が通常よりも大幅に短かったり、オファーする賃金水準が州の中間賃金を超えるとオフィサーも雇用主に協力的になるなど、サービスカナダ内で優先順位付けがなされていることが次第にわかってきました。刻一刻と変化する政府の隠されたポリシーにうまく対応していくしか今のところ方法はなさそうです。