今回は7月13日に発表された学生ビザ発行の新しいポリシーについてです。
最近は政府の移民法関連のニュースがIRCCウェブサイト上で統一された一つのポータルから発表されないため、申請者は重要な情報にもすぐに気がつかないという事態が起こっています。今回の学生ビザに関するポリシー変更も、“ファミリークラスの審査プロセス中に申請者がHIV Positiveであることが判明した際のスポンサーへの自動通知のポリシーと手続きについて”などのトピックを含む、オフィサー向けのポータルから発表されたため、留学関係者すら気がつかなかったようです。
変更内容は、従来は留学生が学生ビザを申請する際にカレッジから条件付きの入学許可証(例えば、パスウェイのESLコースでレベル8修了が入学の条件)を取得した場合は、ESLとカレッジ本科のプログラムを合わせた期間分の学生ビザを申請できましたが、今後はESLコースを修了してからでないと、本科用の学生ビザを取得できなくなりました。
変更理由としては、ESLと本科を合わせた長期の学生ビザを発行することによって、これを濫用する学生が出てくるというものです。つまり、実際には本科に進まず長期にわたってESLスクールに通っていたり、いわゆる“ビザ学校”のようにその間は全く学校に行かずに就労に励む生徒がでてくることが理由として挙げられています。また、カレッジ、大学が留学生の在籍状況を年に2回IRCCに報告することになりましたが、その際の負担を減らすことができる、つまり実際にはまだ本科に未登録の学生まで管理しなくてもよいというメリットも挙げられています。(政府は教育機関からのCompliance Reportingによって、留学生の履修状況をモニターすることになっています。)
これに対して教育業界からは批判の声が上がっています。ESLプログラムを終了してから本科の学生ビザを申請する間のスケージュールがタイトなため、本科が始まっても学生ビザが届かず授業に参加できない生徒が大量に出てくる可能性が懸念されています。また、ESLスクールの中には今後ESLをカナダで履修する生徒が減るのではないかというビジネス上の不安の声もあるようです。さらに、留学生にとっても金銭的負担や事務手続きが増加するだけでなく、移民局側も審査しなくてはいけない学生ビザの申請書が増える分、リソースを増やさない限りプロセス遅延が生じるのは必至と言えます。