弊社では毎年大量の就労ビザの代理申請を行っていますが、稀に申請内容にミスはなく、間違いなく通るはずの申請書が却下されたり、通常のプロセスタイムを大幅に超えてもビザが発行されないことがあります。この場合の理由は大きくわけて二つ、(ルーキーと思われる)オフィサーによる審査、それとIRCCのシステムがうまく働いていないことによると思われます。
この1年ほどは、就労ビザの国内申請の標準プロセスタイムは160日を超えたままで、オファサーの増員も追いついていない状況が続いています。おそらく1件あたり10分程度で審査をこなさなくてはいけないプレッシャーもあり、添付されている書類を見落とすといったヒューマンエラーは避けられないとは思います。
しかしながら、稀に通常ありえない審査が行われることがあります。弊社では最近就労ビザ延長申請の際に、英語のスコアが添付されていないことを理由に申請を却下されたケースがあります。このクライアントはカナダで5年近く英語力を必要とする職場で就労しているにもかかわらず、その事実は全く考慮されず、LMIAの書類に書かれている“英語力が必要”という文言を根拠に申請を却下したようです。オフィサーには一定の裁量権があるため、反論のしようがありません。訴訟に持ち込むのはあまりにも時間とコストがかかりすぎます。
別の例では、追加書類を送って受理が確認されていても、それが実際にはクライアントのファイルに反映されていなかったことが原因で、書類不備を理由に却下されたことがあります。このケースはその後再審査請求をしたところ、2週間後に却下の決定が覆されて無事に就労ビザを発行されました。それでも2週間ほど就労できなくなり、不安な日々を送らなくてはならなくなったクライアントは不運としか言いようがありません。
これとは別に、追加書類の請求があってそれを送ってもその後中々反応がなく、長期間放置されたままの申請書があります。バンデミック中に担当オフィサーが退職してしまい、誰もそのファイルを引き継がなかったため長期間放置されたという話がありましたが、あくまで憶測ですが、同じことが今でも起こっているのかもしれません。
相手があることなので、こうしたケースをゼロにすることは困難ですが、申請者側ができることとしては、1)わかりやすい申請書を心掛けること、2)できるだけ手厚くドキュメントを提出すること、3)追加書類は極力さけて一度に提出することが挙げられると思います。