今回はスタディーパーミット(通称、学生ビザ)を、将来の移民申請に繋げるための留意点について考えます。
現在カナダの移民申請においてはカナダ国内での就労経験が重視されています。しかし、外国人一時就労者プログラム(TFWP)が改定されたことによって、雇用主の名前の入ったワークパーミット取得が極めて困難な事態となり、移民申請資格を得るために必要な就労経験を積む機会が著しく狭められたのが実態です。
そのため、学生が申請できるオープンワークパーミットを移民申請に有効活用することがよりいっそう重要になっています。ではどのような点に気をつけたらいいでしょうか。
まず卒業後に取得できるオープンワークパーミット(PGWP)ですが、このワークパーミットの発行は一部を除いて公立のカレッジか大学を卒業することが必要となっています。また、最大3年間のPGWPを取得するには2年以上のプログラムを選択する必要があります。しかし、今年の6月から移民局のウェブサイトに公開されている学生ビザを申請できる教育機関(DLI)のリストにはPGWAを取得できないESLやプライベートカレッジも含まれているので注意が必要です。
また、インターンシップが修了要件に含まれるプログラムを履修することによってコープのワークパーミットを取得できます。しかし、その職歴は連邦スキルワーカー(FSW)では有効ですが、カナダ経験クラス(CEC)の申請ではカウントすることができないことは覚えておくべきです。
一方、留学生の配偶者やコモンローパートナーが申請できるオープンワークパーミットには意外と無視できないメリットがあります。配偶者やパートナーは、留学生が取得した学生ビザと同期間オープンワークパーミットを取得することができるので、移民申請に必要な就労経験を積むことが可能になります。留学生が卒業後にPGWPを使ってスキルワーカーの職種で就労を開始した場合は、その配偶者やパートナーも引き続きオープンワークパーミットを申請できます。
最後に、学校のプログラムの選択が重要であることは言うまでもありません。卒業後にカナダ人でさえ就職先をみつけるのが難しい分野のプログラムや、仮に就職先が見つかってもスーパーバイザーレベルでないとスキルワーカーとして認められない旅行関係のプログラムなどは、移民申請を目的とする場合は避けるべきかもしれません。運やタイミングに左右されることの多い昨今の移民申請ですが、現在のルールを正確に理解し、これをうまく活用することが必要だと思います。