カナダの入国審査を通過するときには、誰もが一瞬緊張します。無理にフレンドリーな態度を装っても不愛想なオフィサーの前では全く効果がありません。最初のイミグレーションのゲートで話が予想しない方向に進み、セカンダリー・インスペクションに誘導されて長時間尋問にあった人もいると思います。オフィサーの裁量(あるいは、気分)しだいと言われるカナダのイミグレーションですが、空港であるいは陸路ボーダーでトラブルに合わないために、入国に際してどのような心構えと準備で臨んだらよいでしょうか。
最も重要なことは、オフィサーに対して首尾一貫しない話をしたり、嘘をついたりしないことです。毎日何百人もの入国者を相手にするボーダーオフィサーにとって、少し切り口を変えて質問し入国者の嘘を暴くことなど朝飯前なので侮ってはいけないと思います。例えば、観光に来たと答えて具体的なプランを尋ねられた際に、咄嗟の思いつきでシーズンオフにも関わらずホッケーの試合観戦に来たと答えてしまったため、その後2時間も問い詰められたという人の話を聞いたことがあります。また、ファミリークラスの移民申請中にそれには全く触れず、単なる観光に来たなどと答えると、イミグレの記録からその事実を確認したオフィサーは不審に思うと思います。ミスリプレゼンテーションで5年間の再入国禁止というのはよほど悪質でない限りは適用されませんが、嘘がばれて入国を拒否され、そのまま日本に帰されたという話は残念なが毎年何件か耳に入ってきます。
また、結果的に不要である可能性が高いにしても、いざという時に備えて口述を裏付ける書類はしっかり準備し、携帯することをお勧めします。例えば、陸路ボーダーでワークパーミットを申請した際に、国内のステータスが既に失効していたために不法滞在を疑われたり、雇用主のジョブオファーの有効性を疑われたり、ビジターステータス中の不法就労を疑われて荷物を全部調べられ、挙句の果てに携帯電話のテキストまでチェックされるというような事態は、適切な事前準備を怠らなければ十分避けられます。
セカンダリー・インスペクションで検査を受けると、イミグレのファイルにその時のやりとりが詳しく記録されます。それによってその後の一時滞在許可証や永住権申請の際に審査オフィサーの目に触れることになり、審査に少なからず影響を与えることも考えられます。クリーンな記録を維持するためにも、入国のトラブルは極力避けたいものです。