今回は最近特にメディアで取り上げられることの多い無資格コンサルタント(ゴーストコンサルタント)の活動についてです。
カナダ移民法に移民申請の代理人資格規定が加えられたのが2004年。それから10年以上経った今でもゴーストコンサルタント(以下、ゴースト)の暗躍はなくなりません。CBCニュースの最近の記事によると、BC州のゴースト、Xun (Sunny) Wangが有罪判決を受け7年の懲役で現在服役中とのことですが、このゴーストを使ったクライアントは1600人を上回るということです。虚偽申請によって永住権を取得した元クライアントが318人、市民権取得者が200人以上、現在547人が調査中で、既に自主的に永住権、市民権を放棄した人は226人に上ると報じられています。
詐欺行為は実に巧妙に行われています。例えば、永住権を更新するには過去5年のうち2年間カナダに居住していなければなりませんが、これを証明するために実際には大半を祖国、中国に居住するクライアントのパスポートの入国スタンプを偽造し、カナダで架空の住所を作るためにアパートを賃貸し電話線をひいてオフィサーからの問い合わせにも対応。ペーパーカンパニーを作って架空のジョブを作り、給与を支給したことにして(その後払い戻して) 堂々とタックスリターンまで行っていたということです。さらには、各種タックスベネフィットまで受け取っていたという事実も明るみになっています。
これらの詐欺行為はクライアント同意の上で行っていたことは間違いありませんが、信じられないのは、虚偽申請で永住権や市民権を剥奪されたにも関わらず、本人はあくまでもこのゴーストの被害者だと言い張りImmigration Appeal Divisionに異議を申し立て、これが棄却されると今度は裁判所に訴訟を起こしているということです。さらには、この厚顔無恥なクライアントを”罪のない犠牲者”などと弁護し始める弁護士まで出てきてるようです。
最近同業のコンサルタントから、入手した政府のレターがちょっと変なので見てくれないかと相談を受けましたが、形式、文面ともに偽造は明らかでした。これは本国で暗躍するゴーストが作ったレターのようだでしたが、残念ながらカナダ移民法はカナダ国外のゴーストまで取り締まることができません。したがって、特に海外のゴーストに対しては、ゴーストを使った申請者本人に直接制裁が加えられることは避けられないと思います。ビザや移民申請のサポートを第三者に依頼する場合は、無用なトラブルに巻き込まれないように自分の身は自分で守ることが必要のようです。