カナダ政府は2025年までに年間50万人の移民受け入れを達成する目標を掲げていますが、それによって、世界中からカナダを目指す若者が増加し、実際のところ競争は激化しています。エクスプレスエントリーでPR申請の招待を受けるための最低点(Cut off)は高止まりし、カナダで労働市場ニーズの高いヘルスケア、IT、建設などに従事する申請者を除いて、移民への道は険しくなっているのが実情です。
こうした中、カナダ永住権取得にフランス語習得が有利になると思われる政策が打ち出されています。これまでカナダはフランス語を第一言語とする人口の減少を防ぐために、フランス語を話す移民の受け入れに力を入れてきましたが、近年フランス語話者が多数を占めるケベック州で、年間の移民受け入れ数を減少させる方針を打ち出したこともあり、連邦政府はケベック州以外を定住地とするフランス語話者の移民を奨励しています。
以下にケベック州以外でフランス語習得者が優先されるプログラムをまとめました。
エクスプレスエントリー
現在のポイント制では、第二外国語としてフランス語は最高で24ポイント取得できます。また、フランス語の全スキルでCanadian Language Benchmark(CLB) 7以上を取得した場合は25ポイント、フランス語CLB 7以上に加えて英語がCLB 5以上の申請者は、50ポイントがボーナスポイントとして加算されます。
更にこの夏から開始するカテゴリーベースの選定では、フランス語の全スキルでCLB7以上を持つ申請者だけを対象とし、その中でポイントの高い候補者を一定数選定する方法がとられます。
オンタリオ州のPNP – Express Entry French-Speaking Skilled Worker Stream
エクスプレスエントリー登録者の中で学士号取得者、フランス語はCLB 7以上、英語はCLB 6以上のスコア取得者を対象として定期的にPNPのインビテーションが発行されています。(2022年の実績は583人)インビテーション取得者は、次にオンタリオ州のCertificateを申請しApproveされるとエクスプレスエントリーで600ポイント加算でき、次回のインビテーションがほぼ確実となります
フランス語習得者のLMIA免除の就労ビザ
カナダ政府は、2023年6月15日にFrancophone Mobility Program、つまりフランス語話者の移民促進のための就労ビザカテゴリーの要件緩和を発表しました。
従来フランス語の全スキルでCLB 7以上を要求されていましたが、今回の改訂でフランス語のスピーキングとリスニングのみCLB 5を取得し、ケベック州以外の雇用主からジョブオファーを取得した申請者は、LMIA免除で雇用主指定の就労ビザを申請できることになりました。また対象となる職種は今回の改訂でロースキルの職種を含む全職種が対象になります。尚、職場でフランス語を使用することは要件に入っていません。
今回の改訂は、将来的に上記1)や2)を通じて永住権を取得するためのパスとして有力ではないかと考えられます。
更に、フランス語話者の減少を懸念するケベック州では、フランス語の要件を強化する方向でケベックスキルワーカー(QSW)とケベック経験クラス(PEQ)の要件改訂を検討中です。