今回は1月から始まった新しい移民申請システム、エクスプレスエントリー(EE)について知っておくべき留意点について解説します。
昨年12月にエクスプレスエントリー(EE)についての概要が発表されましたが、実際には未だ詳細が詰められていない点や実施が遅れる内容もあるようです。とはいうものの今月第4週には最初の“Draw”が行われる予定なので、現時点でこのシステムからの申請にあたって少なくとも理解しておくべきポイントについて確認しておきましょう。
まず今回の改定は申請方法、申請者の選定方法の変更であって、申請要件そのものが変わるわけではありません。EEから申請するためには連邦スキルドワーカークラス、カナダ経験クラス、連邦スキルドトレードクラスのいずれかの要件を満たしていることが前提です。そのためステップ1のEEプロファイルを提出する前に、必要な語学スコア取得も含め、自己の申請クラスの要件を全て満たしていることが必要になります。この点を無視してフライングすると、最初の登録ではじかれてしまいます。
EEはポイントシステムですが、何ポイントあれば合格というわけではなく、他の候補者との相対的な位置づけによってITA を発行されるかどうかが決まります。Labor Market Impact Assessment(LMIA)によって承認されたジョブオファーの取得、または州政府からノミネートされると600ポイントが与えられ、ITA発行がほぼ確実になります。しかしながら例えば、保有するワークパーミットがLMIAの承認によって取得したものでなくても諦めることはないでしょう。前述したようにLMIA取得者が少なければ相対的な位置づけが引き上げられてITAを発行される可能性が高まるからです。
プロセス期間については、CICのいう“半年以内にプロセスを完了する”というのは、ITAを発行されステップ2の申請完了後の期間のことです。したがってITAを待っている間やLMIAの承認を得るまでの期間は含まれていません。ただ政府からの正式な発表はありませんが昨年後半は申請者が殺到したと見られるため、既に従来の方法で申請を済ませた人でもケースによっては新システムで申請し直した方が結果的に早く永住権を取得できる場合もあると思います。
最後に新システムへの移行がスムーズに行われることはあまり期待しない方がいいと思います。CICの一時滞在許可証のオンライン申請が安定するのに1年以上を要したことや、LMIAのルール改定後、エージェントの不統一な回答が半年近く続いたように、ルール変更に伴って過去に起こったカナダ政府の対応を考慮すれば、同様の混乱を覚悟する必要があります。