2014年11月に従来の住込みナニープログラムが廃止され、ケアギバークラスとして2つのパスが作られました。ところが、この新しいプログラムは”住込み”が必須ではなくなったものの、その他の要件が若干厳しくなったことから、以前ほど人気がなくなってしまいました。就労ビザ取得のために必要なLabour Market Impact Assessment (LMIA)の審査が極端に難しくなったことや、住込みナニークラスの永住権の審査が長期化しているというニュースも敬遠される一因となっていると思われます。しかしながら、 “簡単”なプログラムほど申請者が殺到してすぐに受付停止となることが多い移民申請の現状を考えると、逆に今あまり注目されていない不人気プログラムにチャンスがあるのかもしれません。現在移民申請の有効なパスを見いだせない人は、一度検討することをお勧めします。それではこの二つのパスについて詳しく見ていきます。
チャイルドケア (Caring for Children Pathway)のパスから永住権を申請するには、移民申請時から遡って4年間のうち少なくとも2年以上、カナダで自宅もしくは雇用主の家で当該職種のフルタイム就労経験を有すること、カナダの語学力の基準、Canadian Language Benchmarks (CLB) で5以上のスコアを取得し、カナダ国内または国外で高校卒業後の1年以上のプログラムを修了していることが条件となっています。但し、必ずしも幼児教育のプログラムを修了している必要はありません。また、従来の住込みナニークラスのようにプログラム固有の就労ビザを取得する必要はなく、オープンワークパーミットでの就労も対象となります。
高度な医療ニーズを持つ人への介護 (Caring for People with High Medical Needs Pathway)のパスも同様に、移民申請時から遡って4年間のうち少なくとも2年以上、カナダでのフルタイムの就労経験を有することが必要になります。職種としては、正看護師、准看護師、看護師補助、ホームサポートワーカーの4つがあり、正看護師を除き必要な語学力の基準はCLB 5(正看護師のみCLB 7)です。1年以上のプログラムを修了する必要があるのは、チャイルドケアと同様です。尚、正看護師、准看護師はスキルワーカーの職種なので、連邦スキルワーカー(FSW)やカナダ経験クラス(CEC)の要件を満たした上で、エクスプレスエントリーからの申請も可能です。
しかしながら、インビテーション(本申請招待)がいつ来るかわからないエクスプレスエントリーとは異なり、このクラスの申請者は一定の要件を満たせば時間はかかってもいずれは先着順で永住権を取得でき、待機期間中もオープンワークパーミットを取得してカナダに滞在できるメリットがあります。一旦永住権を申請してしまえば、その後はケアギバー以外の仕事に就くことも可能です。これまで住込みナニーはフィリピン人の独壇場でしたが、幼少時からしっかりマナーをしつけられ、職業上の倫理観が高く、ハードワークを厭わない日本人ケアギバーの需要は今後一層高まると思われます。