今回は、カナダ永住権取得後、永住権を維持するために5年のうち2年カナダに居住しなくてはならないという規定がありますが、この5年とはどの期間のことを指すのか。また、カナダに実際には居住していなくても居住日数を計算できるのはどのような場合かについて取り上げます。
まず“5年”の定義ですが、カナダ永住権を取得してから5年以内の場合と、5年以上経過した場合ではオフィサーの注目する“5年”が異なることに注意する必要があります。前者の場合は、永住権保有者としての最初のカナダ入国(ランディング)の日以降の5年が問題になります。例えば、2011年9月1日にランディングし、その後1年間カナダに居住した後一旦日本に帰国、2015年8月25日にカナダに戻ってきたとします。このカナダ再入国の日から、ランディングから5年後にあたる2016年9月1日までは1年以上残っているので、カナダ入国の際にオフィサーから居住要件の審査を受けたとしても、永住権保有者としての入国を許可されると考えられます。
では永住権を取得してから5年以上を経過した場合はどうなるのでしょうか。例えば、PRカードを2010年4月1日に更新し、2年間カナダに居住した後、2012年4月1日に日本に一旦帰国。日本滞在中にPRカードが失効し、2015年9月1日にカナダ大使館にトラベルドキュメントを申請したとします。この場合、問題となる“5年”は、PRカード更新日からの5年間ではなく、トラベルドキュメント申請時から遡って5年前の2010年9月1日から2015年9月1日になります。この間のカナダ居住期間は1年7カ月で2年に満たないため居住要件を満たしていないと判断されると考えられます。
最後にカナダに実際には居住していなくても居住しているとみなされる場合についてです。1)カナダ人配偶者、コモンローパートナーに同伴してカナダ国外に居住していた期間、2)カナダ企業から派遣されてフルタイム従業員としてカナダ国外に滞在していた期間、3)カナダ企業のフルタイムの従業員である永住権を保有する配偶者、コモンローパートナーに同伴してカナダ国外に滞在していた期間の3つのケースになります。“カナダに不動産を有しパーマネントの住所を保持していた”などは、居住要件を満たしていることにならないので注意が必要です。