2016年1月4日にファミリークラスからの親・祖父母の呼び寄せ移民プログラムの申請書受付が開始されましたが、その3日後には最大受付数の5000ケース(その後10000ケースに増やすことを政府は約束)を上回る14000の申請書が届き、直ちに受付が停止されました。受付開始日前に届いてしまったり、最大受付数に含まれなかった申請書は受け付けられず返却されました。年末年始の休暇を準備に費やした多くの申請者の時間と労力が無駄に終わってしまうことにカナダ政府は無頓着と言えます。
ちなみにこのプログラムでは4年前に受理した申請書を現在審査中ということです。このような理不尽なプログラムは最初から無視することが賢明だと思われますが、カナダ政府もそれを意図しているふしがあります。政府は申請書受付停止とともに、親・祖父母のスーパービザのオプションを強調しています。スーパービザは永住権ではないので2年ごとに延長しなくてはならず、また州の健康保険にも加入できないのが難点です。しかし、日本のようなビザ免除国の国籍者の申請料は無料であり、申請が却下される可能性は他のカテゴリーと比べて低いものとなっています。
スーパービザの申請要件の最も重要なポイントは収入要件です。スポンサーとなる申請者の子供や孫の収入は毎年カナダ統計局が発表するLow Income Cut Offを上回っていることが必要です。この金額は家族のサイズによって変わり、例えばスポンサーが配偶者と子供2人の4人家族であり、両親を呼び寄せる場合の家族メンバー数は計6名となり、$57,826(2016年現在)の年収が必要となります。一方、移民申請による親・祖父母の呼び寄せの場合はこの金額の30%増を過去3年分証明しなければならないので、スーパービザの申請要件の方がはるかに容易であることがわかります。この他に、健康診断をパスすること、カナダの民間健康保険に少なくとも1年加入することが求められます。
話を親・両親の呼び寄せ移民プログラムに戻すと、家族の再統合(Family Reunification) は自由党政権が掲げる移民政策の柱の一つですが、単に受け入れ人数を増やすだけでは何の解決にもなりません。このプログラムに限っては、First Come, First Served ポリシーを捨て抽選にした方がよいと思います。少なくともホリデーシーズンに移民申請の準備などさせず、家族とゆっくり時間を過ごすことを奨励するのがカナダらしいやり方ではないでしょうか。