カナダで活躍する日本人、第21回目はトロント郊外の印刷会社、C17メディアでビニルフィルムのインストーラーとして働かれている長谷川景一さん(以下敬称略)をご紹介します。長谷川さんはオンタリオ州のPNP(スキルドトレードストリーム)からPNPのサーティフィケートを取得、Express Entryで600ポイント加算で異例の速さで永住権を取得されました。PRカードのピックアップの際にオフィスでインタビューを受けて頂きました。2021年現在はYoutuberとしても活躍されています。
QLS: この度は永住権取得おめでとうございます。現在の感想はいかがですか。
長谷川: もともとカナダに来た時は永住する予定は全くなく、来た当初は英語も全く自信がなかったので、こんなにすいすい永住権が取得できたことに少しびっくりしています。
QLS: いつ頃永住権をとってもいいかなと思い始めましたか。
長谷川:考え始めたのはカナダに来て3年目くらいですかね。今の職場から就労ビザをサポートしてもらい、アメリカのトレードショーにも頻繁に出張したりして、ちょうど仕事が面白くなってきた頃です。日本の同業者とも話してたんですが、こちらは日本と比べてマーケットは大きいし、地理的にもアメリカ、ヨーロッパに近いので最先端の技術をいち早く学べるというのもあって、ここに残った方が将来のキャリアを考えた時に学べることが多いかと。そこで残る手段をとして永住権をとることにしました。
QLS: 日本のマーケットと比べてどういった点が違いますか。
長谷川:まずこちらは色々な人種の人が住んでいてニーズも全く違うので、例えば、あるエスニックグループで人気のある色でも他の人種の人たちの間では宗教上、あるいは風水でNGとか本当に様々です。日本の場合は単一民族で指向もだいたい似た傾向があるのですが、こちらではクライアント一人ひとりが“こうしたい”というのがはっきりしていて、それにしっかり対応していくことが求めれます。
QLS: 仕事はどうやって見つけられたのですか。
長谷川:最初の雇用主は年1度、トロントのダウンタウンで行われる 車のショーに行ったときにたまたま見つけて、その後インスタグラムを見ていたら求人募集をしていたので、メッセージを送ってインタビューしてもらうことになりました。オーナーに自分がこれまでやってきたことを話したら下積みのような形で採用してもらえました。
QLS: インスタグラムで仕事に応募というのは今風ですね。(笑) そのあと現在の会社に移られたんですね。
長谷川:はい。たまたま今の会社が社長も含めて社員が皆車が好きで、カナダで一番大きいレースのイベントを主催していたので、その繋がりで知ることになりました。元々は普通の印刷会社だったんですが、会社が当時外注していた車のラッピングのお客さんも取りこみたいと考えていて、そこで偶然自分がそれまでやってきたことがうまく雇用主のニーズに合致しました。
QLS: なるほど、車のラッピングの技術者というのはものすごくニッチなので、そう簡単に腕のいい技術者は見つからないでしょうね。
長谷川: 実際に車のラッピングは看板などとは違って、微妙な曲面を扱う3次元の世界なので、施工だけでなくデザインやフィルム制作の段階からかなり深く関与していく必要があります。毎回案件ごとにチームを組んで取り組んでいます。また、日本では見られないような超高級車のラッピングを受注することもあって、そういう時はクライアントも私が日本人技術者だと知っていて依頼してくるので、期待度が高くプレッシャーがかかります。(笑)
*長谷川さんは2018年にカルフォルニア・ロングビーチで行われたラッピングの技術を競う2018 Wrap Olympic で優勝されています。
QLS: 日本の職場と比べてどう違いますか。
長谷川: スモールビジネスというのもあるかもしれませんが、皆とても気さくで特に社長との距離が凄く近いです。仕事に関係ない話を相談されることもあります。また結果をきちんと出していればかなり自由で、就業時間も仕事がないときは午後からとか、かなりフレキシブルにやっています。
QLS: 余談ですが、先日日本では台風で公共交通機関が止まってしまったにもかかわらず月曜日の朝のミーティングに命がけで急ぐサラーリマン達で駅が大混乱になったと報じられていたのを今思い出しました。
長谷川: ただ、チームで仕事をしていても、カナダ人の常識として終業時間になると途中でも仕事を中断して帰ってしまうところは、自分が日本でやってきた仕事のやりかたと違うのでストレスになることもあります。
QLS: 確かに私も先日車を修理に出していてそのピックアップのために5時ぎりぎりに行ったら、受付の女性に露骨に嫌な顔をされました。こちらは客なのに。(笑)
最後に長谷川さんからこれからカナダで経験を積みたい、永住権を取りたいと考えている人へのメッセージをお願いします
長谷川:この国はまだまだチャンスのある国だと思うので何事にもガンガンチャレンジして欲しいと思います。あとビザに関してはやはり期限がいつも付きまとってくる問題になってくるので自分が取れる状況にいるのであれば、間違いなくチャレンジすることをお勧めします。その時はもちろん上原さんにお願いするのがいちばんの近道だと思います。
(インタビューを終えて)
長谷川さんはこちらからのメールへのレスポンスが毎回とても早く、おそらくクライアントの方への対応も同様にされているのだと想像します。個人的には長谷川さんご自身がレースに出場したり車が好なことが現在の仕事に結びついていること、ニッチな分野を徹底的に追及されていること、日本人としての強みを発揮されていること、常に新しい技術を学ぼうとされている姿勢にとても感銘を受けました。いいお話をありがとうございました。