カナダで活躍する日本人、第十二回目はトロントでビューティーサロン、和“nagomi”を開業、オーナーとして活躍中のオーバートン恵さんにお話をお伺いしました。オーバートンさん(以下敬称略)は当社で4年前にファミリークラスから永住権のサポートをさせて頂きましたが、最近あるイベントで再会したのをきっかけに、今回改めて投稿をお願いしました。
QLS: 先日は久しぶりにお会いできてよかったです。さて、カナダに初めて来られてから現在に至るまでのいきさつを教えてください。
オーバートン: 高校卒業後どうしようかと考えていた時、英語を話せるようになれば、世界中の人とコミュニケーションがとれる!世界中の人と友達になれる=自分の見える世界が広がるという単純な理由から、思い切ってカナダに留学することにしました。もちろん初めはカナダは遊びや勉強に来るところであって、『カナダに絶対住みたいんだ!!』という強い意志は全くありませんでした。ただただ、高校出たての私としては、外国に行くというだけでワクワクしました。
最初にカナダに来たのは18歳の時で、その時は完全に親のすねかじりでしたが、語学学校に行ったりビジネスを勉強したりしました。またこの時は、もうこれ以上ないだろうと思うくらい、とことん遊びまくりました(笑)。毎日がとても楽しかったです。仕送りのお金を少しずつ節約し貯めながら、カナダ国内と国外12カ国にも旅行に行きました。その後ついに親からの仕送りが止まって2年半後帰国することになりました。
日本では、塾の講師、アルバイト、当時親がしていた化粧品、オーガニック製品の販売 の仕事を一緒にやり始め、27歳の時これからの夢の為に日本で一度起業しました。
29歳になってから再びワーキングホリデーで渡加。今度は当時自分のやっていた日本 での仕事を更に深めようと、NYのメイクの学校に行き、その後メイクアップアーティストとして少しずつ活動を始めました。但し、この時はワーホリ後には日本に帰って NYで学んだことを生かして新しいコンセプトのお店を日本に出す予定でいました。
ところが、ワーキングホリデー中に現在の主人との運命的な出会いがあり、これを逃したら一生後悔すると思い、私の方から猛アタックしました(笑)。そして、一旦日本で軍資金を貯める為、主人には必ず帰ってくるからと約束して帰国しました。そして一年半後、カナダに戻って即結婚しました。今思えば主人も1年半もよく待ってくれていたと思います(笑)。 それから、ビザの申請を始め、永住権取得。仕事で成功するのが夢でしたが、大好きな人と家族を作るのも夢だったので1年後には出産しました。ただ、子育てをしながらも以前からあ たためていた自分のお店を出したいという思いは変わりませんでした。
その後、たまたま住んでいたアパートの一階の商業スペースが空いたので、正直、タイミング的には子育てをしながらの開業に不安もありましたが、思い切ってそこにお店 を出すことにしました。友達や家族の支えなしでは出来なかった事です。本当に感謝しています。
QLS: 高校卒業からこれまで駆け足で色々な経験をされたんですね。留学、結婚、移 民、出産、起業と、その時々にチャンスを掴んで実現されてきたのがわかります。では 起業したいと考えられたきっかけは何ですか。
オーバートン: 雇われている時はお客様とゆっくりコミュニケーションをとったり、アドバイスを差し上げる時間もなく、事務的に施術しがちで自分自身矛盾を感じながら 仕事をしていました。お客様の為に取り扱う製品も自分の意に沿わないものや、自分が使用していないものを使うことにも矛盾を感じていた為、自分のお店を持ってお客様のトリートメントに使用する製品は自分が本当に自信のあるもの、安全なものを選び たかったということがあります。そして、何よりもお客様とのコミュニケーションがきちんととれる環境は自分で作るしかないと思いました。
NYで学んだことも影響していると思いますが、自分自身フェイシャルなどの外からのトリートメントだけでなく、お客様へ様々な角度から“キレイ”を提案するセミナーや ワークショップを通じて、内側からのトリートメントも提供する独自なスタイルを持つ空間にしたかったので、これは自分でやるしかないと思いました。
QLS: 確かにオーバートンさんのお店は、他のサロンにはないユニークな活動をされていますね。ビジネスの現状はいかがでしょうか。
オーバートン: 子育てをしながらのスタートだったこと、広告も出していなかったの で、最初は友達にお客様として来てもらうことから始めました。なかなか忙しくなら ない時もあり、不安を感じることもありました。ただ、日々来てくださるお客様へのフォローの連絡等、一人一人のお客様に一生懸命接するよう心がけました。それを続けながら、ワークショップがきっかけとなったり、お客様がお友達に伝えてくださって、口コミで来られる方が増えました。また、ローカルのお客様も少しずつ増え、時には辞書を引きながら、肌のケアの仕方を説明する私にも辛抱強くつき合って下さっています。一緒に働いてくれるスタッフにも恵まれ、色々な新しいサービスを提供する ことも出来るようになりました。主人も協力的なので、公私ともに助け合いながら、 仕事ができる環境が今は本当に励みになっています。
始めた時からそうですが、個人的には常にお客様一人一人のニーズを敏感にキャッチできるようになりたいと思っています。サロンとしては、通常のサロンサービスだけでなく、それぞれの分野の美、健康のエキスパートの方々に力を貸していただきながら、お客様が“キレイ”になれる情報を発信していける場所を提供していけたらと思っています。
QLS: 最後にこれからビジネスを始めようと考えられている方にメッセージをお願いします。
オーバートン: 私も、まだまだ格闘中ですが、こんな私でもなんとか夢の第一歩にた どり着くことができました!『絶対恩返しする!』という強い想いを前提に、時には 人の力を借りることです。頼るのではなく、成功している人の話を聞いたり、自分で出来ないことは人に手伝ってもらったり、その代わりに自分が得意なことで相手を手伝ったり。
カナダに来る前に母親が『チャンスの神様』の話をしてくれました。
人生に3回来るチャンスの神様の話。ほとんどの人が、『まだ若いから、まだ早すぎる』『今忙しいから』『もう年だから』といって掴むチャンスを逃すそうです。私も必死に掴みました。これからも、更なる夢に向かって頑張っていきます。自分の子供達 に、夢にむかって頑張る姿を見せるのも私の夢の一つです。
QLS: 今回は元気のでる素晴らしいお話をありがとうございました!今後のサロンの更なる発展を願っています。