エクスプレスエントリーで永住権申請の招待を受けるために最低必要なスコア(カットオフ)が高止まりする中、特定の業界(職種)の経験者を優先するドロー(カテゴリーべースドロー)が頻繁に行われるようになりました。それに足並みを揃えるように州の推薦プログラム(PNP)も特定の職種リストに基づくターゲットドローがデフォルトになりつつあります。今後カナダ永住権取得のためには、カナダで需要のある業界(職種)の職務経験の有無が重要なファクターになってきました。今回は将来性のある二つの業界、建設業界とヘルスケア業界へのキャリアチェンジの方法と業界の魅力について弊社の過去のお客様にお話しを伺いました。
カナダの住宅不足は現在深刻な状況にあり、各種の規制緩和を実施し、政府の補助金を注入して今後住宅の供給量をかなりのハイペースで増やす必要があると言われています。一方で人口の高齢化によって今後数年の間に建設業界ではリタイアを迎える人が多いこと、カナダ人の新卒の間でも仕事がきついイメージから敬遠する人が多いことがこの業界の人手不足に拍車をかけています。現在、アルバータ州で床の張替えなどを行う建設会社を経営されている土橋様からアドバイスを頂きました。https://foresttofloor.ca/
- 未経験でも興味を持って取り組める人は、キャリチェンジのハードルはそれほど高くない。
- まずカレッジで建設業界の職種のコースを取って基本的な知識と仕事上必要となるテクニカルターム(英語)を学ぶ必要がある。それがないと職場での会話が全く理解不能になる。
- エントリージョブとしては、キャビネットメーカーの組み立てラインの仕事がお勧め。それほど技術を必要としないので採用されやすい。そこでの経験を次のステップにつなげられる。
- 数は少ないが日本人オーナーの会社もある。
- 建設トレードの仕事は、時給20-25ドルでスタートが相場、経験を積めば時給も上がる。(主要職種の中間賃金(時給)は、Plumber:33ドル、Electrician:34ドル、Carpenter:30ドル、Residential and Commercial Installers and servicers:25ドル)
- 小規模の建設会社に就職すると色々な分野を体験し、その後自分の好きな分野をみつけてスペシャリストになることができる。(例えば、床専門、壁専門、構造物専門など)
- Plumber、Electricianなどはアプレンティスシップ(見習い期間)を終了しCertificate取得まで4年かかるが、一旦取得するとその後の収入はかなり安定する。
- 経験を積めば将来Self employed(個人事業主)になれるチャンスがあるのが最大の魅力。独立すると、例えばPlumberなどは時給で110ドルくらい請求できる。仕事の自由度が増す。
次は慢性的な人手不足が続くヘルスケア業界へのキャリアチェンジについてです。ファミリードクターの不足、専門医のアポイントメントや手術を受けられるまでの期間の長期化など問題山積です。各州で現在積極的に海外から医師や看護師をリクルートしています。この業界についても以前の弊社のクライアントの現職の方にキャリアチェンジについて相談してみました。
- Nurse Aideの8か月のコースがスターティンポイント。その後はLicensed Practical Nurse (LPN)の2年のコース、Regitered Nruse(RN)の4年のコース取得の際にブリッジング(単位のトランスファー)が使えると早く卒業できる。Nurses aide, LPN, RNの各コースを持っている学校が単位を互換してくれやすい。学校を変わるとほぼ単位認定されない。
- カレッジ入学には高校の生物、化学、数学の履修状況や英語力を問われる。
- Nurse Aideの主な雇用先はロングタームケアホーム(公立)、中には病院で採用されるケースもある。プライベートケアは車椅子で生活している人のサポートが多い。
- 日本人看護師は年配者から(年長者を敬う文化のせいか)一般的に受けがいい。
- 学校に行くメリットは、実習先からレファレンスをもらえる、学校の先生からの紹介を得られる、現地の就職先の情報が得られやすいこと。
- LPNとRNの違いはそれほど大きくないが、LPNはICUでは働けないなどの制約がある。
- RPN(Registered Psychiatric Nurse)は老人は精神科医専門のRN。勤務先は主に老人ホームの他、病院の精神科、地域のメンタルヘルス系のクリニックに勤務したり、施設によっては緩和ケアなども勤務先になる。
- Nurse practioner(修士レベル)は、1)看護関係のインストラクターになって教える、2)クリニックを開き処方箋を発行できる、3)病院のマネージメント職につける。
- 時給は例えばSK州では、2024年現在Nurse aide 23-25ドル、LPNは36-39ドル、RN/RPNは36-50ドル。経験年数によって異なるので、ベテランのLPNがRNの時給を上回ることもある。
- 12時間シフトの場合、フルタイムで週3日勤務なので、勤務年数により3-6週間程度の休暇取得が可能。無給なら1年間休暇を取れる。
- トラベルナース(派遣)に転向すると更に時給は上がるが公務員でなくなるので各種手当がなくなる。
- 人とコミュニケーションをとるのが好き、チームで仕事をするのが好きな人向けの職業。人の健康、命を預かる仕事なので、責任感が強い人が望ましい。日本人は綺麗好きで真面目、時間やきまりを守る人が多いので割と向いてるが人多い。
- カナダの病院は日本の病院と比べるとヒエラルキーが緩い。専門分野の違いからドクターとナースは互角に議論する。
- 州ごとにライセンスが異なるので州を跨ぐ転職の場合はライセンスの書き換えが必要。
- バンクーバー、トロント、カルガリーをなど日本人が住みやすい・好きな大都市はその他の移民にも人気なので競争率がかなり高い。
- 地方では寒冷地手当が付くところもあれば、インセンティブとして3年契約などで契約金がもらえたり($10,000程度)、1年にある程度の時間数を働くとステューデントローンの一部免除があったり、報酬はかなり良い。また、日本人がいない分珍しがって重宝される可能性大。
- 日本の看護師免許から試験を受けてカナダのライセンスを取得できるようになった(以前は1.5年程度学校に通う必要があった)。
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